開祖は行基菩薩、古くは武田家祈願寺


松本山大蔵経寺(しょうほんざんだいぞうきょうじ)は奈良時代
養老6年(722年)に法相宗の行基菩薩を開祖として創建されたと
伝えられています。
往古は菩提山長谷寺(ぼだいさんちょうこくじ)の本坊で、松本寺と呼ばれており、山内に物部神社を勧請し、大寺院であったようです。
応安年間(南北朝時代)足利三代将軍義満の庶子、観道上人(かんどうしょうにん)が中興開山として入山するにあたり、義満公が甲斐の守護武田信成に命じて七堂伽藍を建立させました。
この時より武田家祈願寺になっています。

武田家の守護尊「将軍地蔵」


山の形が、獅子が蹲踞(そんこ)するのに似ていることから青獅子山(せいししざん)と号し、観道上人が大蔵経を五重の塔に奉納したことに由来して、寺名を松本寺から大蔵経寺に改めました。
後に旧松本寺の寺号を山号に変え、松本山大蔵経寺になっています。
永正13年(1516年)9月28日、武田信虎と駿河勢との
「万力の合戦」にて兵火にあいましたが、その後の復興されました。
永禄11年(1568年)信玄の越後攻めの際、戦勝祈願寺として大蔵寺の寺名もあり、武田家の守護尊である「将軍地蔵」も所蔵します。
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また、観道上人が当寺に納めた仏画等四点が県指定文化財です。

江戸時代は徳川家より保護を受ける


江戸時代に入ってから、徳川家康・秀忠らによる当山護持復興に、
約30石の所領が御朱印地として安堵され、寺門は興隆をみました。その時に賜った家康公の念持仏である三面大黒天や、権現堂厨子が
現在残っています。
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享保3年(1718年)甲府藩主柳沢吉里公が大般若経を寄付し、大蔵経寺に甲府城(舞鶴城)の祈願を依嘱し、毎年正月甲府城内で大般若経を転読しました。また当寺は甲府城から鬼門にあたるので、甲府城代が毎月17日、武運長久に祈願参拝したと伝えられています。
江戸期は新義真言宗檀林能撰寺格(学問所)を有し、
甲斐国真言宗七檀林の一寺とし寺門興隆の一途を辿りました。
創建以来、数度にわたる火災により堂宇は焼失してしまいました。
現在の伽藍は天保から安政年間に再建されたものです。

御本尊「不動明王座像」(伝 智証大師作)


真言密教の中心の仏である大日如来の化身です。
心の迷いを取り除き、どんなものでも救うために厳しい
忿怒(ふんぬ)の顔をされています。
右手の剣であらゆる迷いを断ち切り、左手の羂索(けんざく)という縄で正しい方向へ導いてくださいます。
背中に背負う炎で煩悩を焼き清め、お座りになっている
盤石(ばんじゃく)や瑟瑟座(しつしつざ)という台は、
お不動様のゆるがない心を象徴しています。

脇侍は、矜羯羅(こんがら)・制多迦(せいたか)童子。

祈願

将軍地蔵


川中島合戦にあたり武田信玄公が戦勝祈願をされた
地蔵菩薩像です。

甲冑を身に着け武器を持ち、戦の守護尊として多くの
武家に信仰されたと言われています。

将軍地蔵

三面大黒天


中央に大黒天、左に毘沙門天、右に弁財天の姿が刻まれた三神一体の尊像です。
当山第十世海真の代に徳川家康公より寄進された家康公の念持仏です。
厨子右扉の内側には「神君当寺御腰掛砌住持海真御寄附申傳候」とあり、家康公が当寺に立ち寄り本像を寄進していった一文が書かれています。
武田家滅亡後、権力の空白が生まれた甲斐の国をめぐり家康と秀吉は全面対決の様相を呈していました。
後に甲斐国は徳川の領地となり、家康は大蔵経寺を保護し、徳川家祈願所と定めました。
甲斐の拠点、また西への備えとして甲府城の築城に着手し、大蔵経寺は甲府城の鬼門守護の寺として重んじられました。

三面大黒天
年間行事案内
行事 内容
毎月 第3日曜日
午後2時~
写経のつどい 本堂にて般若心経の写経を行います。写経は、仏さまの教えであるお経の文字を書き写す仏道修行です。
一文字一文字、心を込めて書き写すことで清らかな気持ちになっていきます。
普段抱えているストレスも解消されるかもしれません。
写経の後は、お抹茶のご接待がございます。
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毎月 一回 御詠歌勉強会
3 春彼岸 お彼岸はご先祖さまの供養をとおして、六つの修行(六波羅蜜行)を実践する精神修養の期間です。
(一)布施=惜しまず与える (二)持戒=戒律を守る (三)忍辱=耐え忍ぶ
(四)精進=努力する (五)禅定=精神統一する (六)智慧=物事を正しく見つめる
8 13日 大施餓鬼会 本堂にて供物や塔婆を立てて、皆様とともに手を合わせ、ご先祖さまをはじめ全ての御霊を供養し、
その功徳を全てのものへ回し向ける(回向する)法要です。
9 秋彼岸 春彼岸と同じく、ご先祖さまに感謝の祈りを凝らし供養します。
12 31日 除夜会 大晦日23時40分頃より除夜の鐘を突き、一年の垢(煩悩)を落として新たな年を皆様とともにお迎えします。
除夜の鐘の人数制限はありません。
甘酒のご接待もございます。